親子の顔や体質が似ているのは、
親から子供に「身体の特徴」が遺伝しているから、
という事はよく知られています。
もちろん「身体の特徴」は、
日々の生活習慣の影響も受けますが、
両親から受け継ぐ身体の特徴は
二重らせんの構造をした「DNA」で描かれた
設計図によってきめられています。
●遺伝子とDNAの関係は?
DNAと遺伝子、似たような使い方を
される事も多いのですが、何が違うのでしょうか。
まずDNAは「塩基、糖、リン酸」の3つで構成された
「デオキシリボ核酸」という物質の略称です。
塩基には
A(アデニン)、G(グアニン)、T(チミン)、C(シトシン)
と呼ばれる4つの種類がありますが、
この4つの文字の並び方で、身体のパーツであるタンパク質が作られます。
また以下のようにAとT、GとCは相補的な関係のため、
塩基が対になることで2重のDNA鎖をつくり2重螺旋構造をとります。
私たち人類は約10万種ものタンパク質をつくる設計図を持っており、
身体に必要な酵素や、ホルモン、外的から身を守る抗体など様々な
機能を発揮します。
そして、例えば「目」もこの設計図からつくられますが、
目の色が人種によって色が違うのは、
このDNAで描かれた設計図が異なるからなのです。
DNAの文字の並びに基づいて、
親から子にうけつがれる特徴を遺伝形質と呼びますが、
この遺伝形質を決めるものが「遺伝子」ということになります。
●DNAはどこにあるの?
人間の設計図は、30億文字以上のDNAによって記載され、全てを1本につなげると2mもの長さになると言われています。
私たち人間の身体は、およそ60兆個の細胞からできています。
そして、この全ての細胞の核と呼ばれる構造の中に、
この30億文字以上のDNAが存在しているのです。
そして、絡まらないようヒストンと呼ばれるタンパク質によって
巻き取られ、大切に保管されています。
●親から子の遺伝
DNAは30億文字以上の巨大な情報ですが、
細胞の中では23本の染色体という構造にわかれ、
更にこれが2セットずつ存在します。
設計図という本が第1巻~第23巻まで存在している
と考えるとわかりやすいでしょう。
父親から譲り受ける23本の染色体、
母親から譲り受ける23本の染色体、
これら23本×2セットの染色体によって
親から子供へ遺伝情報が引き継がれます。
ゲノムプロジェクトという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
「ゲノム」とは、ある生き物の遺伝情報の総体の呼び方です、
つまり「ヒトゲノム」は、ヒトを構成するのに必要な全ての遺伝情報をあらわす言葉となります。